夏休みを前に、「こころの家庭教師」のお問い合わせが増えてきてい
ます。休み前に学校に行けない状況になったり、抱えている問題をこ
の機会に何とかしたいと、ご利用を希望されるのだと思います。...
社会的ひきこもりの方の中には、パニック障害やそこからくる二次的
な抑うつ状態のために、家や部屋から出ることが困難になっているケ
ースもあります。
弊社顧問医からの紹介のクライエントさんで、男性で30歳を超えてい
るのですが、家から出られない方などもいらっしゃいます。
診断としては、パニック障害となっており、お薬でパニック発作はほ
とんど抑えることができているのだけれど、予期不安や広場恐怖があ
たまから離れず、これによって行動が制限されていることが考えられ
ます。
一度パニック発作を経験した場合、そのあまりにも大変で苦しい経験
から、「もう一度発作が起こってしまったらどうしよう」と不安がつ
きまとうことになります。これこそが「予期不安」であり、まだ起こ
ってもいないけれども、起こったときのことを考えて不安になってし
まうのです。
結果、発作を一度でも起こした場所やその状況に類似した状況を避け
てしまう、すなわち行動が制限されていくのです。
また、人ごみの中や満員電車または渋滞の中などに対して、強い恐怖
を持つこともあります。容易にそこから離れたり、逃げ出したりする
ことが難しい状況です。これを「広場恐怖」といい、パニック障害の
方に多く見られる現象です。
パニック障害は脳の機能障害であると、解明されつつあります。パニ
ック発作については、お薬で良くなることも知られています。
ただ、「予期不安」や「広場恐怖」は、なかなかお薬だけでは良くな
りにくいと言われています。このような場合、認知行動療法などの心
理療法を組み合わせることが、より効果的であるとの研究があります。
具体的には、曝露療法(エクスポージャー)と言って、不安が起こるよ
うな場面に自分をさらし、不安が軽減していくのを待ち、それを感じ
るという経験を繰り返す療法です。
「予期不安」や「広場恐怖」は、一度できてしまった不安のイメージ
を持ち続け、その不安に直面するのを避ける行動を学習し、それを繰
り返してしまっているとも理解できます。
このような場合は、不安強度別に、不安の起こる場面を選び出し、強
度の低いものから順に、不安場面にさらしていきます。もちろん、治
療者や家族とまずは一緒に行う場合もありますし、イメージの中での
曝露から始める場合もあります。
実行前は、非常に不安が高まりますが、実行後には思っていた不安よ
りは高くならなかった、不安は高まったけれどもやがて治まっていく
ことを感じることができた、などの感想を抱く場合があります。
これを繰り返すことで、襲ってくる不安自体が小さくなり、不安場面
に適応していくことができるようになるのです。
このような取り組み、たとえばクライエントの方と一緒に電車に乗っ
たり、車に乗ったり、ということを訪問の場面でもさせていただいて
います。
このような取り組みは、パニック障害でない社会的ひきこもりの方に
も、意味があるのではないでしょうか。
ある程度信頼関係ができて、少しずつ外に目が向いてきている段階で
あれば、支援者と共に行動的な取り組みをしていくのは有益なのだと
感じています。
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