スクールカウンセラーとして赴任している中学校で、カウンセリング
ルームで過ごしている女性徒達の中で、「きもい」という単語が聞こ
えてきました。...
彼女たちにとっては、それほど特別な言葉ではなく、日常の会話の中
で特に意識せず使っているようです。私は気になったので、
「『きもい』ってどういうこと?教えて」
と問うと、
「きもいはきもい、わからないの~?」
という答え。
「違う言葉で表現するとどういうことなの?」
には、
「う~ん、わかんない。きもちわるい、ってことかなぁ」
とのことでした。
何か特別な身体的な特徴をあげつらっているというよりは、自分にと
って、理解しがたいもの、排除したい対象、についての総称として、
「きもい」を使っているような感じを受けました。
単に「気持悪い」であれば、まだ理解できるのですが、「きもい」の
言葉の意味には、気味悪い、理解できない、嫌いだ、そしてその先に
ある「あっちいけ!」という意味まで含まれているのではないでしょ
うか。
彼女たちは、「あっちいけ!」を「きもい」にふくめて言う場合とそ
うでない場合もあるような気がします。
私が「きもい」を言われたとして感じること、「悲しい」「さみしい」
ということを彼女たちに伝えてみました。
少し驚いた顔をした彼女たちをみると、「きもい」と言ったり、言わ
れたりした場面で、その時に生じる気持ちや、相手に投げかけている
であろう感情を、今までしっかりと考えたことがなかったのでは無い
か、と感じました。
深谷和子先生の調査によると、小学生が休み時間に友達から言われて
一番いやだった言葉は?との問いに、
男子の部
「死ね」 小4
「消えな」 小4
「ジャマ!」 小6
「○○(名前)死亡」 小4
「ビンボウニン」 小5
女子の部
「ムカツク」 小5
「キモい」 小4
「意味分かんない」 小5
「はぁ?」 小4
といった結果が出ているようです。このような結果を見たとき、人は
自分たちの小学生時代を思い出すでしょう。こんな言葉言っていたよ
という人もいれば、なんてひどい言葉を使うのか、自分たちの時には
聞かれなかった言葉だ、と思う方もいるでしょう。
たぶん、その当時の時代を反映する言葉が使われるのだと思いますが
存在自体を否定するような言葉が、多く見受けられるように感じるの
は私だけでしょうか。
人は生まれながらにして、他者から認められることを望む動物だと思
います。これは人間の持つ本来的な欲求の一つでしょう。
他者の存在すら認めないような言葉が氾濫する中で、相手とのつなが
りを簡単に示すことが可能な携帯やメールが、存在価値を増している
のは、もしかすると当然のことなのかもしれません。
ただ、携帯やメールであっても言葉を介していることには違いがあり
ません。このような仕組みに乗った「他者を否定する言葉」は、その
力を増してしまう危険性もあるのではないでしょうか。
言葉は、時代とともに変化していくものだとしても、言葉によって生
じる気持ちや感情といったものは、そう変化しないのではないかと考
えています。
湧き上がってくる気持ちや感情を、無視するのではなく、感じること
ができるようになることも、今求められている教育の一つだと感じて
います。
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