2008/04/25 【モラトリアム】 | ひきこもり・不登校支援は、臨床心理士によるこころの専門家集団「こころの家庭教師」へ。

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2008/04/25 【モラトリアム】

「こころの家庭教師」は、下は5歳の幼稚園児から、上は31歳の社会
人まで、幅広い年齢の方にご利用いただいています。最近の傾向と
してはやはり、20代以上のいわゆる「社会的ひきこもり」の方からの
問い合わせやご利用が増えてきていると感じます。...

「モラトリアム」という言葉があります。日本語で表わせば「心理・
社会的猶予期間」となりますが、

「性的には成熟した青年期の個体が、異性愛能力や親になることへの
心理・社会的準備、自由な役割実験などを社会的遊びを通して試み、
社会の中に自己の適所を発見するための準備期間である」

とされています。日本の教育制度に当てはめると、まさに大学在学中
の時期などがこれにあたるのでしょう。生物的には成熟した個体を有
しますが、自己が完全に確立されるまでには至っていない状況、そん
な中アルバイトや、社会的な活動を通じて、自分を見つめなおし、特
性に応じた仕事や社会的な活動を選択していく、ということです。

この時期は、その後の長い社会人としての人生を歩み始める上で、最
も大切な時期のひとつといえるでしょう。モラトリアムの時期に自分
とは何者なのか、生きていくということはどういうことなのか、とい
う課題について考えることが妨げられると、様々な困難が生じてくる
と考えられています。小此木先生は、このような状態を「アイデンテ
ィティ拡散」と述べています。

■自意識の過剰
社会の中での自分を客観的に見ることが困難になると、自分という存
在を、実際以上に価値あるものや、崇高なものと考えてしまう。

■選択の回避と麻痺
社会的な遊びによる役割実験を楽しむことが出来ないと、どのような
選択や決断も本人にとって葛藤を生むものとなり、結果、職業選択や
進路選択を回避するまひ状態に陥る。

■対人的距離の失調
くっついたり、はなれたり、親密になったり、孤独になったり、とい
う対人的な距離の取り方がうまく出来ず、甘えれば相手に飲み込まれ
自立しようとすれば、孤立しっぱなしや、ひきこもりに陥る。

■時間的展望・勤勉さの拡散
時間的な意識や勉強、勤労について回避したり、注意集中が困難にな
る。

■否定的アイデンティティの選択
家族や身近な共同体が望ましいものとして提供している役割やアイデ
ンティティに対する軽蔑や憎しみ、嫌悪感が起こり、これらと反対の
もの(否定的なもの)への過大評価が起こる。

現場で20代以上のひきこもりの方とお話していると、「生きる意味が
見いだせない」「何のために生きているのかわからない」というここ
ろの叫びを耳にすることが多くあります。

モラトリアムの時代に、人生についてまた、自分について考え、試行
錯誤することが十分でなかった場合、その次の段階へ進んでいくこと
が困難なのかもしれません。

発達段階に応じた、克服すべき課題が私たちにはあるとすれば、実年
齢で彼らの問題を判断するというよりも、彼らが今留まっている発達
段階で克服すべき課題を問題にし、それについて共に考えていくこと
が、次の段階への早道なのかもしれません。

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