「こころの家庭教師」の活動をしていて、長年部屋に閉じこもってい
る方と一緒に部屋や家の外に出るということは、ひとつのステップと
して重要だと感じさせられます。...
長い期間ひきこもっていると、どうしてもその環境に「慣れて」しま
います。その環境の中の生活に合わせて、生活習慣や家族との付き合
いも変化してきます。
それほど対人面でのコミュニケーションに問題をもっていない方でも
対人的な恐怖感や人の集まる場所にでることへの不安感が、いつのま
にか高まってきてしまいます。「どうにかしたい」とはおもうけれど
も、「怖さ」や「不安」が頭の中を満たし、「動かない」選択をして
しまうのです。「怖さ」や「不安」ばかりに考えが集中してしまうた
め、その評価を自分の中で大きく大きくしてしまい、そこから逃れよ
うと行動してしまうのだと思います。
「どうにかしたい」という気持ちがあるかたであれば、まずは「不安」
や「恐怖」ばかりに注目してしまうのではなく、他の「今できること」
に意識を向けて見てはどうかと話をしてみます。そして、「不安」や
「恐怖」を無くすことに力を注ぐのではなく、それを「出て当然」と
受け止め、「やってみる」ことを提案します。
この場合であれば、「外に出てみる」ということです。「不安」や「
恐怖」が出ている中でも、そればかりに注目せず、できること、扉を
あけ、身支度を整え、玄関から出てみること、を実行してみるのです。
彼ら自身に「興味のあるところ、行きたいなぁ、とは思っていたけど
行けてないところ」などを聴いてみます。「ファミレス」や「昔遊ん
だ公園」といった言葉が彼らから出てきたとき、では一緒に出かけて
みないかな、と提案します。もちろん、彼らにとっては今までにない
行動ですから、不安や恐怖が湧きあがってきます。
ここで、このような気持ちがわきあがってきたから、「出来ない」と
なるのではなく、このような気持ちが出てきている中でも、行動して
みないか、と提案するわけです。その根拠としては、「なんとかした
い」という自分の気持ちを再確認して、そこに近づく可能性のある行
動だからこそだと。新たな結果を得るためには、新たな行動が必要だ
と。現場では、あまり理屈っぽく言うわけではなく、行きたい、と表
明してくれたところに、こちらも行くことを楽しみにして、朝からピ
クニック気分で迎えに行く、ということです。
すると、このような場面では、部屋や家の中で面談しているときとは
異なった彼らの面が見えてくる場合があります。実は多弁であったり
人と接することが上手であったり、電車や車での移動そのものを楽し
んだりする方も見受けられます。「行動」の結果、以前出来ていたこ
とを思い出したり、自分の過大な恐怖や不安に対する「評価」を現実
的なものに修正することができるのだと思います。
「行きたい」と少しでも思える場所に、一緒になって楽しんで「行く」
ということは私たちの活動の中でも、大切なものの一つだと感じていま
す。
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