精神科的な治療には、三つの異なる視点が存在するように思います。
ひとつは「生物学的な治療」もうひとつは「社会心理学的な治療」、
そして「主体的な治療」です。「生物学的な治療」とは、薬物療法を
代表とした身体へのアプローチです。「社会心理学的な治療」とは、
環境調整を主体とする、その人の周りに対する働きかけです。
では、「主体的な治療」とは、どのようなものでしょうか。今回はこ
れに焦点を当ててみようと思います。...
昔ながらのうつ病に対する典型的な治療では、まずは休息と服薬が基
本となります。精神的な負担を取り除き、その上でお薬によって抑う
つ感や不安感を軽減させていきます。
お薬を飲むことは、ここでいう「生物学的な治療」となります。現在
では副作用や依存性の小さい、抗うつ薬や抗不安薬が続々と開発され
てきています。服薬は生活の土台を築いていく上でとても大切なこと
です。自分に合ったお薬を必要量医師の指示通り服薬するだけで、う
つによる症状の7割程度改善が見込めるのではないでしょうか。
次に休養です。これは「社会心理学的な治療」にあたります。うつ病
は、エネルギーがなくなってしまう現象と考えられています。エネル
ギーを補充するために、精神的な負荷を可能な限り取り除くのです。
会社勤めをしている人は休業や休職も選択肢です。
「うつ病は何も治療しなくても、環境を整備すればやがて完治する」
という専門家もいます。家族や会社、またはその他さまざまな要因で
環境調整が難しい場合には、入院というのも有効な手段のひとつでは
ないでしょうか。
そして最後が、「主体的な治療」です。この解釈には幅があると思う
のですが、私は「その人が本来持っている生の欲望(エネルギー)を
生かすこと」だと理解しています。不安や恐怖が強く、それにとらわ
れる方たちは、逆にいえば、生の欲望、「人と上手く関係をもつ」「
より良く生きるために向上したい」といったものが強い方たちだと言
えます。
このような生の欲望を、不安や恐怖の打ち消しに使っているままでは
たとえ「生物学的な治療」や「社会心理学的な治療」がうまくいった
としても、再発の危険があると思うのです。
生の欲望をうまく発揮するには、いくつかポイントがあります。
・現実をそのまま受け入れ、言葉や概念と現実の乖離から解放する
・過去や未来ではない「現在」に目を向ける
・生活の場、目の前にある出来ることに焦点を広げる
・自然な感情とともに、今、その時の事実の中に自分を引き戻す
あるがままの自分を受け入れ、自分のとらわれからくる考え方から解
放されることで、自分の中にある生の欲望は、建設的な方向へと利用
され始めるのだと思います。このような過程を経て、うつ病を「締め
くくる」ことが、うつ病の完治につながるのだと感じています。
関連するページ
このページのキーワード。関連情報をチェックできます。
あるがまま
,
主体的
,
治療
,
生の欲望
,
生物学的
,
社会心理
,
薬物
このページの先頭へ
トップページへ







