高校生以上、場合によっては30代以上の男性でひきこもりの相談を
いただく場合、数カ月から数年家族以外の人と接触していない場合も
あります。
ご相談に来られるのは、もちろんご両親ですが、まず本人と会うこと
について、「会えるはずがありません」「来て(訪問)もらっても無
駄だと思います」ということをおっしゃいます。...
以前も書きましたが、ひきこもりといってもその形態はさまざまです。
誰にでも理解できるような、学校や職場での自分にとっていやな出来事
があってひきこもる場合もあれば、精神科的な病気が主な要因となって
そうなる場合もありますし、考え方のかたよりや性格傾向で集団になじ
めずなんとなく行かなくなる、またそれぞれ経過の長短によっても異な
ってきます。
ご家族にとっては、これらの分類はあまり意味がないかもしれませんが
いずれにせよ、彼らは家の中にこもり、時には大声を出し、時には物に
あたり、そんな心配やご苦労を年単位で経験しているのですから、こう
なると、前述のような言葉が出てくるのは当然です。
私たちの活動は、訪問での対応も重要視しています。おうかがいしてご
自宅での生活状況や、会えるようであれば本人の様子を見たいからです。
あくまでご両親の依頼での訪問ですから、本人が会ってくれるとは限
りません。予約当日になると、しばらく家から出ていなかった人が、会
うのを避けるため、久しぶりに外出するなんてこともあります。運よく
お家にいても、部屋の鍵をかけてこもってしまう方もいます。
ただ、同じように、いや私の感覚ではそれ以上の人たちが、突然の訪問
者にも対応してくれるのです。当然、戸惑ってはいますが、部屋の扉越
しに顔をのぞかせて、時には居間まで出てきてくれて普通に話をし始め
ます。このような姿をご両親が見ると、「!!」となるようです。外の
人なんかと初対面で話しているという状況が、考えられなかったのでし
ょう。
あらかじめ聞いておいた、彼らの関心事や趣味について、それとなく話
を向けることで、場がなごみ、「○○見せてあげますよ」といった会話
になることもあります。今までまったく外の人と話した経験がない、と
いう方はいないと思います。小学生のころ、大学生のころ、社会人にな
って、それぞれの場面で皆何かしら経験を持っているのです。ですから
まったく話すことができないと考えるほうが不合理です。ご家族がその
ように考えてしまうのは、家族であるが故の苦しみがあるからかもしれ
ません。結果的には少し強引かもしれませんが、このような過程を経て
お会いできるようになるケースもあるのです。一度お会いすることがで
きて「危害は加えてこなそうだ」「おもしろい」「話が合う」と思って
もらえれば、再会することはそれほど難しくは無いと感じています。
しかし、少し強引に面談した場合には、そのぶり返しのようなもので、
家族に強くあったたり、物を壊してみたりする方もいます。これはこれ
で当然のことだと思います。いままで閉じていたものを、自分の意志で
はなく、中途半端に開けられ、直面したくもなかった葛藤や不安にさい
なまれるわけですから。私は、ご両親にはあらかじめこのようなことが
予想されますよ、とはお伝えすることにしています。
人はどのような時でも、自分らしくあるために力を発揮しようとしてい
るのだと、彼らのカウンセリングをしていて感じます。その状況を整え
てやることが、まずは僕らの仕事ではないでしょうか。
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